ミツバチについて

家畜育種の分野で使われている品種とは、人為的に作出された形質などの特徴が安定していて、同種の他個体(群)と区別することができる個体もしくは個体群のことです。ミツバチはまだ統一された品種の定義がないため、牛や豚と同じような国際的に通用する品種は存在していません。世界各地で養蜂穫として利用されている種類は、欧州原産のセイヨウミツバチ Apis mellifera です。

日本では、在来種のニホンミツバチ Apis cerana japonica Fabricius が、養蜂種として飼養されていましたが、明治時代にセイヨウミツバチが輸入されるようになってからは、主としてセイヨウミツバチが養蜂種として利用されています。

養蜂業で使用されている品種や系統といった言葉は、あくまでセイヨウミツバチのイタリアンやカーニオランのような生物学的分類による亜種名を指したものです。

この章では、養蜂業で使われているセイヨウミツバチの系統を紹介します。名称に関しては、これまで慣習的に使用されている呼称を用いています。